
「親父、初めてのボーナスが出たんだ。ビールでもご馳走するよ」息子からの久しぶりの電話。
「おやじ」という耳慣れない呼びかけに少々戸惑いながら、その申し出をありがたく受けることにした。
ついこの間までは「父さん」だったのに、この春社会人になってしばらく電話も来ないと思っていたら、いつの間にか「親父」になっていた。まだまだ子供だと思っていたけれど、どうやらあいつも少しは成長したらしい。
自分が初めて父親を「親父」と呼んだときの面映いような誇らしいような気持ちを思い出し、電話を切ってから私はひとり微笑んだ。その夜、息子は指定したホテルのレストランに少し遅れてやってきた。
「ごめんごめん、会議が長引いちゃって」額の汗を拭いながら息子は言った。少し痩せたようだが、ずいぶん精悍な面持ちになったようだ「いい店じゃないか。お前がこんな店を知っていたとはな」
「会社の先輩に連れてきてもらったんだ。地酒や焼酎の種類が多いから、親父が喜ぶだろうと思って」
ビールのグラスがふたつ運ばれてきた。乾杯をして口に運ぶときめ細かい泡が唇をくすぐり、よく冷えたビールが喉を心地よく刺激しながら滑り落ちていった。
息子も喉を鳴らしながらグラス半分ほどを一気に飲み干し、満足そうに息をついた。
「お前もずいぶん飲めるようになったみたいだな。子供の頃、ビールをひと口なめさせろと言いながら『苦い』と顔をしかめていたのに」「親父、よくお祖父ちゃんとふたりで晩酌していただろう。男同士でビールを注ぎ合うのが子供心にカッコ良く見えて、俺も仲間に入りたかったんだ」
思い出の中の父の笑顔と目の前の息子の笑顔が重なって、不意に胸が熱くなった。
息子と酒を酌み交わす喜び。それは男親の“子育て完了”を告げる、ささやかなご褒美なのかもしれない。
「親父、今夜はゆっくり飲もうぜ」息子のいける口は、どうやら私譲りらしい。
グラスに残ったビールを飲み干して、私はひとり微笑んだ。
キリッと冷えたビールがうれしい季節。そのおいしさのカギは“泡”にあります。泡にはビールが空気にふれて酸化するのを防ぐとともに、香りや炭酸ガスを逃さない“ふた”の役割があります。せっかくの泡を消さないよう上唇でよけながら飲み、グラスから口を離すと鼻の下に泡が白いヒゲのようについているのが上手な飲み方。飲み終わるまでグラスに泡が残っていれば理想的です。
![ろばた・すし・北のめし〈あきず〉[営業時間]〈ランチ〉11:30〜15:00〈ディナー〉17:00〜22:00](img/style1107/shop_ph.jpg)
街中の居酒屋のような気軽さで、ホテルならではの上質な味わいとおもてなしを楽しめる「あきず」。厳選された北海道の旬の素材をはじめ、全国津々浦々の郷土料理をあきず流にアレンジした美味の数々をご提供しています。冷たいビールはもちろん、目移りしそうなほど種類豊富な全国の地酒や焼酎もお楽しみ。ただいま館内全レストランで利用できるお得な「サマーチケット」を販売中。ご家族で、お仲間で、おいしい夏の夜をご堪能ください。